さりはま書房徒然日誌2024年7月22日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結3』五月二十三日を読む

ーどこか童話的な世界ー

五月二十三日は「私は雷だ」で始まる。
以下引用文。不自由な少年・世一が住む丘に狙いをつけた雷だが、予想に反してオオルリも、世一もただならぬ喜び様となる。
世一とオオルリの雷に喜ぶ様子を読んでいると、「千日の瑠璃」はどこか童話めいたところもあるように思えてくる。

普通ならば間違いなく火の手が上がるはずなのに
   意外にもそうはならず、
      しかも
         その家で飼っているオオルリなどは
            却って喜悦のさえずりを発して
               声の調子を一段と高め、

               飼い主の少年に至っては
                  私に向かって手を振る始末だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』139頁)
        

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