さりはま書房徒然日誌2024年8月31日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結3』七月十四日を読む

ー「魂に汗して生きる」という表現、心に残るー

七月十四日は「私は積乱雲だ」で始まる。まほろ町のいろんな住民を観察し見守る積乱雲は、丸山先生そのもののような気がする。積乱雲が語る世一の「魂に汗して生きる」「最高にして最低の存在」の姿も、清々しいような、哀しいような存在である。人の世を見つめる積乱雲の束の間の存在が心に残る。

そして
   この世を見極めることにかけては
      今や入神の域に達しつつあるかもしれぬ
         魂に汗して生きつづける
            最高にして最低の存在たる
               少年世一。


私はそんなかれらのひとりひとりに
   じっくりと見入り
      そして魅入っており、


なぜならば
   全員にそれだけの存在価値が
      充分過ぎるほど具わっているからで、


かれらを認め
   かれらの至高至純の魂の震動によって膨張しながら
      いつもの夏を
         いつもの現世を構成してゆく。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』349頁) 

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