さりはま書房徒然日誌2024年9月20日(金)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月十八日を読む

ー世一の目がとらえるこの世ー

八月十八日は「私は洞察だ」で始まる。少年世一の「意識下に潜むあまりに鋭い洞察」が語る。
以下引用文。世一の洞察が語る「まほろ町」は平易な言葉でありながら、どこか寓意的でもある。

私に言わせると
   閉じた社会でもなければ
      開かれた社会でもなく、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』86頁)

以下引用文。世一の意識下の洞察は、まほろ町に住む人々も次々ととらえていく。その姿は「青や赤や紫の思想」という言葉のように、説明する言葉を失いながら的確に核心をついている。
理解する言葉を持たない世一の視点に降りたって、この世を眺める不思議さがある。

そうかと思うと
   青や赤や紫の思想を漂白して
      舌戦をくり広げたがる連中もいるし、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』86頁)


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