丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月二十一日を読む
ー宇宙とは厳しい戦いの場でもあり調和の場でもありー
八月二十一日は「私は土星だ」で始まる。食あたりで体調を崩した世一の夢に現れる土星が語る。
以下引用文。
世一に昼食をふるまった物乞いは、宇宙についてこう語る。厳しい生活を送る人の目がとらえるこの宇宙の緊張感が心に残る。
人々と同様
星々もまた至る所で壮絶な死闘をくり広げており、
そうするほかに生と存在を認識する術がないのだと
きっぱり言い切って
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』99ページ)
以下引用文。土星が世一に語る宇宙の姿。宇宙とは、物乞いが語る緊迫感あふれるものかもしれないし、土星が語るように調和のとれた穏やかな世界なのかもしれない。どちらも真実であるような気がする。
この世が故意に造られたものではなく
誰かの過失による偉大な産物というわけでもなく
あくまで調和の上に成り立つ世界であることを
知らしめようとした。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』100ページ)