丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月二十二日を読む
ー生と死が隣り合わせている世界ー
八月二十二日は「私は迷鳥だ」で始まる。老人に拾われた「惨めったらしい迷鳥」が語る。
以下引用文は最後の箇所だが、元気を回復して飛び立つ迷鳥に「死が待つだけの天空へまっしぐら」と言って終わるあたりに、丸山先生の生と死が隣り合わせている世界を見るような気がした。
オオルリがさえずり、
それが何よりの餌となり特効薬となって
急に元気を回復した私は
礼も言わずにさっと飛び立ち
絶妙な羽ばたきを見せて
死が待つだけの天空へとまっしぐら。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』105