丸山健二『千日の瑠璃 終結4』九月二十四日を読む
ー自我とバランスを取り難くー
九月二十四日は「私は存在だ」で始まり、「少年世一の自我としての揺るぎない存在」が語る。
以下引用文を読み、人間とは自我を超えて過剰に怒ったり、喜こんだり、悲しんだりする生き物なのかもしれない……でも、そこが人間たる所以なのだろうか……そんなことを思った。
つまり世一は
必要以上に私の前にしゃしゃり出ることもなければ
私の背後からしぶしぶ付いてくるということもなく、
そうした生き方が可能なのは
まほろ町ではおそらく彼ひとりくらいなもので、
しかしまあ
人間以外の生き物では
動物にしても植物にしても
それが当たり前のことだった。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』235頁)