さりはま書房徒然日誌2024年12月10日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十一月六日「私はマツタケだ」を読む

十一月六日は「私はマツタケだ」と「マツタケ」が語る。
ちっぽけなマツタケがとらえる世一の姿の不可思議な複雑さに、人間の神秘を感じ、色々あれどそう捨てたものではない……という気持ちになってくる。
それにしても七割、二割、一割……という表現とか、どうしたら思いつくのだろうか。

というか
   私のほうがその少年を発見したと言うべきであり、

ヒスイなんぞよりはるかに珍しく
   もしかすると希元素よりずっと貴重な存在かもしれぬ
      七割の青
         二割の白
            そして一割の影をもって
               不自由な身を固めている病児との出会いは
                  奇跡と呼べる遭遇だった。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』46ページ)

事の本質を喝破しそうな眼差しを注いできて

(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』47ページ)

本心の在り処がまったくわからぬその少年は
   沈黙と凝視によって
      なんとも奇妙な威圧感をつづけ、

(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』48ページ)

存在の価値というものがいかに曖昧であるかという意味の
   いかにも残忍な嘲笑を浴びせかけるのだった。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』49ページ)

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