さりはま書房徒然日誌2025年2月8日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より一月一日「私は皮算用だ」を読む

元旦からリゾート計画による土地買収の皮算用で浮かれるまほろ町の人々。
世一の父親のやるせない呟き。
それに呼応する青い鳥の「さもありなん」という人の言葉でありながら、鳥の言葉にも思える調子の良さが印象的。

「というか
    これまで謂れのない罰をさんざん食らってきたんだから
       そろそろ帳消しされてもいい頃だ」

すると
   暖房のせいで冬場でもよくさえずる青い鳥が
      「さもありなん
          さもありなん」と鳴いて
             飼い主の一家に幸あれという意味を込めて
                今年初の美声を迸らせる。


( 丸山健二『千日の瑠璃 終結5』233ページ)

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