丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より一月一日「私は皮算用だ」を読む
元旦からリゾート計画による土地買収の皮算用で浮かれるまほろ町の人々。
世一の父親のやるせない呟き。
それに呼応する青い鳥の「さもありなん」という人の言葉でありながら、鳥の言葉にも思える調子の良さが印象的。
「というか
これまで謂れのない罰をさんざん食らってきたんだから
そろそろ帳消しされてもいい頃だ」
すると
暖房のせいで冬場でもよくさえずる青い鳥が
「さもありなん
さもありなん」と鳴いて
飼い主の一家に幸あれという意味を込めて
今年初の美声を迸らせる。
( 丸山健二『千日の瑠璃 終結5』233ページ)
