丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月三十一日「私は大晦日だ」を読む
十二月三十一日は「私は大晦日だ」と「大晦日」が新年の決意を固めてもすぐにだらける人々を見つめ、そのなかで鳥籠の掃除に励む世一を見つめる。
「我を忘れた」というほど掃除に励む世一。たしかに掃除には嫌なこと、憂いごとを忘れさせてくれる魔法の力があるなあとおもう。
丸山文学の主人公たちは、よく掃除をする気がする。もしかしたら、丸山作品における「掃除」とは、俗世を、どうしようもならない自分を忘れる儀式なのかもしれない。
ところが
酒をひと口飲んだ途端
急にだらけてしまい
あとはもうどうしようもないありさまだ。
少年世一は
自室を隅々まで掃除し
鳥籠をぴかぴかに磨き上げることで我を忘れた。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』229ページ)
