さりはま書房徒然日誌2025年2月7日(金)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月三十一日「私は大晦日だ」を読む

十二月三十一日は「私は大晦日だ」と「大晦日」が新年の決意を固めてもすぐにだらける人々を見つめ、そのなかで鳥籠の掃除に励む世一を見つめる。
「我を忘れた」というほど掃除に励む世一。たしかに掃除には嫌なこと、憂いごとを忘れさせてくれる魔法の力があるなあとおもう。
丸山文学の主人公たちは、よく掃除をする気がする。もしかしたら、丸山作品における「掃除」とは、俗世を、どうしようもならない自分を忘れる儀式なのかもしれない。

ところが
   酒をひと口飲んだ途端
      急にだらけてしまい
         あとはもうどうしようもないありさまだ。

少年世一は
   自室を隅々まで掃除し
      鳥籠をぴかぴかに磨き上げることで我を忘れた。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』229ページ)


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