丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より三月十三日「私はニュートリノだ」を読む
「罪にまみれたこの惑星に降り注いでいた 謎多きニュートリノ」が語るという設定は、物理書を読んだりするのが好きな丸山先生らしい。
以下引用文。世一の体の中で動きを止めたニュートリノ。その場所とは、いったいどこなのだろう?精神なのだろうか?全てを語らず、こんな謎を残したままなのも楽しい。
その場所は
脳でもなければ循環器でもなく
筋肉でもなければ血管でもなく
いかなる臓器も納められていない摩訶不思議な空間で、
物質以外の何かがいっぱいに満たされ
有限でありながら無限でもあるという
なんとも不可解な世界で、
ともあれ
動けなくなった私は
消滅の一途を辿るしかない。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』