さりはま書房徒然日誌2025年5月19日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より三月二十七日「私は口答えだ」を読む

「年がら年じゅう決まった時間に就寝させられている双子の兄妹が 生まれて初めて試みる」口答えが語る。
以下引用文。親に抗い、好きな時間に就寝するという小さな自由を手にした兄弟。
そして、すでにその自由の中に生きている少年世一。
就寝という小さなことながら、生きていく上で欠かせない営みさえ、あまり好きでもない仕事や学校にあわせている……ということにハッとする。

今夜を境にして
   兄弟は急成長を遂げ
      両親はその分だけ老けこんだ。

寝たいときに寝て起きたいときに起きる少年世一の口笛を
   勉強部屋で聞く少年は
      かくして自由への幸福に一歩近づいたことになる。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』173ページ)

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