丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より四月二十日「私は批判だ」を読む
「少年世一の 死よりも重く 宇宙よりも深い瞳のなかに まほろ町の比較的善良な人々がふと感じる 自己自身に対する批判」が語る。
世一が批判しているのでなく、澄んだ世一の目に映る己の姿に、思わず人々が自分に向ける様々な批判。
以下引用文。ただ少年世一だけは批判することもなく、すべてを受け入れている。そんな世一の生き方の軽やかさが感じられる。
そんななかにあって少年世一は
すれ違う人々のすべてを光や風のごとく容認し
生々流転の小さな渦を撒き散らしながら
足に任せての徘徊を存分に満喫している。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』369ページ)