さりはま書房徒然日誌2025年9月1日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より六月八日「私は展望だ」を読む

かつてブラジル移民として活躍した男。
父の死後、何かを志すこともなくなって物乞いになった男。
そんな男が世一の家に物乞いにやってっくる。

オオルリは厳しい。
世一の「弁当をかっきり半分」というところがいじましい。


「二人」じゃなくて「ふたり」と表記すると、姿が浮かんでくる感がある。なぜだろう?

オオルリが二階の窓辺で
   「そんな奴に何も恵んでやるな」と鳴き
       「飢え死にがお似合いだ」とさえずり、

それでも少年世一は
   自分の弁当をかっきり半分与え、


崖っぷちに並んで座ったふたりは
   私を前にして
      必ずしも生きるためだけではない
         さりとて明日のためでもない
            険しい昼食を始めた。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』65ページ)

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