さりはま書房徒然日誌2025年9月4日(木)

製本基礎講座46回『星の王子さま』丸背改装本11回 丸背用スリップケース作り2/3回

中板橋の手製本工房まるみず組の製本基礎講座へ。今日は丸背用スリップケース作り。

スリップケースを作るときの緊張感は、作ったことのない方には想像できないのではないだろうか。
きちんと測って、本をあてて確認したのに、ほんの僅かな誤差で本がキツキツになったり、ゆるゆるになったり。
組み立てたとき、「こんな筈では」とガッカリしつつ、やり直すこと何度……を経験した。
でも先生と一緒だと、何とか策を考えてもらえるだろうとすごく安心感がある。


スタート!(↓)

接触面のスウェードはよく接着できるように削ぐ。↓

さらに黒革とスウェードに段差が出来ないように、ボール紙も少しむしる。
手製本は細部に至るまで細やかな配慮の世界なのだ。↓

段差がなくなったところで黒革部分を接着。
なかなか思うように接着できない。曲げたら向こう側がすぐピンと跳ねてしまう。
でも繰り返すうちに黒革も諦めるのだろうか。だんだん抵抗しなくなって、くっついてくれる。
余計な革はメスで削いでゆく。

ここで本を入れて先生に確認してもらう。
天地部分の蓋の片方が少し出っ張っている……とのこと。
でも先生は落ち着いて、接着したものを外してカットすべきラインに線を入れてくださる。
5ミリほどだろうか。でも、この5ミリをカットすることで天地の蓋部分がほぼ同じに揃う。


私は作業が雑なせいか、いつも先生に助けて頂く。
そうして助言されるまま足したり、カットしたり……で微調整することで、だんだん私でもジャストサイズに近づいてゆく。

天地のもっこりした部分もメスで削ぎ落とす。
ちなみにシワシワではなくて、革に必死でギャザーを入れたのである。

メスで削いだら、まあまあ平らになってきた。

あとは次回、外側に紙を貼って完成だ。

手製本を学んで、本というものは元々は丁寧に時間をかけて作られるものなのだなあと思う。
大量に早く作られる本もあっていいのだろうが、時間をかけて作られる本来の本があってもいい気がする。
こうして本の形にすれば、受けとめてくれる人がどこかにいるだろうから。

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