丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十六日「私はアオコだ」を読む
うたかた湖に短期間で大量発生したアオコが語る。
以下引用文。気候も、人の心も共に荒れる様子がシンプルな言葉だけにずしりと響く。
その荒みが生命の源の水まで荒らしてしまうことにハッとした。
雨のたびに流れこむ山の肥沃な土
キャンプ場や飯場や宿や別荘から垂れ流しにされてる雑排水
例年よりはるかに多い夏日と熱帯夜
急増しつつある因業で算用高い人間
外国の海で日焼けできない観光客の荒んだ心
それらが私の強力な味方をしてくれ
この調子だと今年じゅうには
飲料用水の価値を奪えるかもしれず、
来年までには
灌漑用水としての価値まで
引き下げられるかもしれない。
( 丸山健二『千日の瑠璃 終結7』380