丸山健二「千日の瑠璃 終結8」より十月四日「私は行列だ」を読む
「少年世一によって辿られる 黒アリの長過ぎる行列」が語る。
以下引用文。黒アリの生態を彷彿とさせる文から、全体主義を連想してゆく発想が面白いなあと思う。
巨石の真下に築かれた
複雑にして巧緻な巣と
共同墓地に供えられた
甘過ぎる饅頭とのあいだを
途切れることなく結ぶ私は、
ひょっとすると
全体主義者を確言して憚らぬ誰かに
よく似ているかもしれない。
(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」134ページ)
ただ全体主義のように見える黒アリも、人間の社会のおぞましさはないようだ。
自然に人間社会を重ねて見るところも丸山文学の面白さ。
勇猛な兵士と
勤勉な労働者から成る私は
粒々辛苦の末に目的を遂げ
由々しき問題もなんとか解決し、
だからといって
ひと握りの特権階級のための
おぞましい集団などではない。
(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」136ページ)