さりはま書房徒然日誌2026年8月16日(日)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』十月十七日「私は音波だ」を読む

『千日の瑠璃』は長編小説だけれど、一日一日の話のテーマも、表現も考えさせられることが多く、行きつ戻りつしながら過ごせる稀な作品。

なので前後したりすることもあるかもしれない。

十月十七日は、少年世一の耳に届く様々な音波が語る。

開発に浮かれだつまほろ町の人々の声。

周囲の街の羨望の声。

うたかた湖の寂しいボートの物音。

以下引用文。

大切な相棒であるオオルリを失ってしまった世一の姿は、今後の展開を暗示しているようでもあり、作者の心を暗示しているようでもある。

そんな私は
   次第に世一を追い詰めてゆき、

だが彼は

   もはや生きることにさほど執着しておらず、

郷土が発するすべての情報に聞き飽きて
   近頃では葉陰に身を潜める虫たちの立場を羨む始末で、


そこで今度は
   墓前に哭する者の声を送り届けてやる。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』189ページ)

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