Marshall: Principles of Economics | Library of Economics and Liberty.
この原則があてはまるのは、動機の倫理的特徴だけではない。たしかに動機の倫理的特徴から、目的をえらぶときに影響をうけるかもしれない。動機の判断力、活力、こうした目的を追求する進取の気性にも、こうした原則があてはまる。強調したいのは、「都会の人間」の行動には、継続的に、なだらかに変化していくグラデーションがあるという事実である。都会の人間の行動とは、計画的な、広範囲にわたる計算にもとづくものであり、また実務的なやり方で事を処理したりする力も、意志もない普通の人々に、活力と能力でもって実施されるものである。救出をいとわない気持ちも、金銭の報酬を手に入れようとして骨の折れる仕事をいとわない気持ちも、売買に最高の市場を探そうと用心するのも、自分や子どもに一番都合のいい仕事を探そうとして用心するのも、すべて普通なのである。このように似かよった言葉はすべて、ある場所と時代で、特定の階級を構成する人々に関連するものにちがいない。しかし、そうした言葉がひとたび理解されると、普通という価値理論が同じように、事務職ではないクラスの行動にも適用される。だが商人や銀行家の行動のように、細部にいたるまでぴったり同じというわけではない。(さりはま訳)