対象が私たちとは特に関係がなく、また感情について判断する相手とも特に関係がないのなら、相手の感情が私たちの感情とすっかり一致した場合はいつでも、趣味の高尚さも、すぐれた判断力も、相手に理由があるのだと考えるものである。美しい平原も、偉大な山も、装飾をほどこされた建物も、絵画の表現も、会話の構成も、関わりのない人の行いも、異なる数量の配分も、そして宇宙のすばらしい機械が神聖な車輪とバネをうごかして感情を生じながら絶え間なく示す様々な外見も、知識と判断力からなる全般にかかわるものであり、私たちと私たちの仲間のどちらにも、個人的な関係はない。私たちがともに同じ視点からながめると、共感する機会をのがし、共感がうまれるような状況を想像する機会をのがし、つまり感じたり感動しいたりという心のハーモーニーをうむ機会をのがしてしまう。それにもかかわらず、異なるかたちで影響をうけるなら、異なるレベルで意識が生じることになり、生活の行動パターンが異なっていても、複雑な対象のある部分には心地よく身をゆだねることができる。あるいは、心に本来ある鋭敏さから、異なる意識が生じ、その心から感情が語られもする。(さりはま訳)
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