アルフレッド・マーシャル 経済学原理1.Ⅱ.17

経済学が特に関わる人生の局面とは、人々の行為をほとんど計算したものであり、人々が体験することになる特定の行動の有利も、不利も合計したものである。そして更なる人生の局面とは、習わしや習慣にしたがい、つかの間でも計算ぬきに物事を進めるときにあらわれるものである。習わしや習慣そのものは、異なる行動の有利な点、不利な点を、近くで、注意深く観察することから生じるものである。一般的には、バランスシートにおける二つの様相について、正式に評価したものではない。しかし、その日の仕事や集まりを終えて帰宅した人はお互いに言うことだろう。「こうするとは言わなかったけれど。ああしておいたほうがよかったなあ」など。ある行動について他の人より上手に反応させるものとは、必ずしも自分本位な利益のためでもなければ、物質的な利益のためでもない。更に、しばしば論じられていることだが、「こうした案や、ああした策はわずかながらトラブルを回避するし、お金も少し節約するけれど、それでも他の人にとって公平なことではない」、しかしながら「そうした案のおかげで目をむけることにもなったし」、あるいは「感じとるということにもなった」ということなのである。(1.Ⅱ.17)

 

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