フランチェスカは、他のひとの視点から物事をながめる自分に誇りを抱いていた。つまり、それは常に、様々な面から自分の見方をみることができるということであった。コーマスに関していえば、彼のふるまいについても、あるはしなかったことについても、そのとき、彼女の心に占める割合は大きくなっていた。彼の人生の見とおしがどうあるべきか明確に思い描きすぎているあまり、その心の動きを理解することにも、また心の動きを支配する衝動を理解することにも、まったく適していなかった。結婚相手は、彼女に息子をひとり授けたが、息子への寄付には制限をもうけ、唯一の子孫に節度をみせたが、そのことをフランチェスカはありがたく思い、また感謝しながら、友達のひとりが、半ダースいる息子と娘二、三人への贈与を経験して生き生きと満足しているのをみては、自分の子供はたったひとりコーマスであると指摘してみせるのであった。だが彼の場合、子供の数としては節度があっても、性格の無節制さのせいで釣り合いがとれるものになっていた。