サキ「耐えがたきバシントン」Ⅳ章 25回

学生時代も、その後、再度生じることになった休暇のあいだも、陽気さと美貌のおかげでコーマスはうまくやり、全体的には愉快な男だった。同じような長所のおかげで、今でも彼は自分の人生を前進していた。しかし、そうしたことがいつでも、わざわざやってくると当てに出来ないことに気がつき、それは冷静さを失わせてしまう体験であった。動物の世界では、しかも競争心の強い動物の世界で必要とされていることとは、野の百合のような、装飾的ともいえる放縦さではなかった。それこそがコーマスが自分に与えようともしなければ、また与えることができないものでもあった。その何かが欠けているせいで、彼は運命をひがみ、勝利の人生を妨げたものを、あるいはせめて邪魔されない人生を妨げたものを恨むのであった。

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