サキ「耐えがたきバシントン」Ⅸ章 90回

六月も終わりに近づいたその日は朝から暑く、長くのびた陰が坂道の地面にのびていた。ロトンロウ通りと愛情をこめて呼ばれ、ロードデンドロンの茂みがある砂利道は、行ったり来たりの単調な動きにあふれ、その時と場所に似つかわしく、用心深さからくる不活発な雰囲気が支配していた。健康であることを求めている人もいれば、悪名高いことしようと求めたり、あるいは理解されることを求めたりする人もいて、更には運動をこよなく愛するひとの姿も、全速力で走り去る大地には見うけられた。砂利道や椅子、長椅子の上に見うけられる人々は、変化に富んだその本能と動機のせいで、社交的な目録である紳士淑女名鑑の制作者を途方にくれさせたことだろう。

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