アーサー・モリスン 倫敦貧民窟物語「ジェイゴウの子ども」 1章9回

オールド・ジェイゴウ・ストリートはゆらめく赤い空のもと、陰鬱な雰囲気をかもし、空気もよどんでいた。こそこそ歩く生き物は大きなネズミのようで、次から次へとハイストリート沿いの水路の柵のあいだにもぐり込み、ジェイゴウ地区へと散らばっていた。火事に集まった人々は今や少なくなり、警官がその場をとりしきっていたが、隙のある者はすべてすりにねらわれた。まもなく侵入も終わり、空はゆらめいてもいなければ、明るさもなく、暗い赤に落ち着いていた。舗道では、ある者たちは疲れて身をよじりながら眠りにつこうと焦がれ、また別の者たちは眠りにつくことをあきらめ、座ったり、だらりとよりかかったりしていた。話している者も少数いた。彼らは住む家がないから、そこにいるのではなかった。だが、天気がこうなのだから、家の中で休息するのではなく、通りで休息するということもありえないことではなかった。だが、それにもかかわらず家にいる少数の者たちの住まいがあちらこちらに散見され、窓から明かりがみえた。この地区では、明かりをつけないで寝るような者は誰もいないからだ。それというのも、明かりがある程度ふせいでくれる三種類の害虫がいるせいだ。苦しんでない者にはわからない恐怖というものが害虫にはある。そうした者たちは害虫の話をされることすら拒絶する。人々の体のうえを、たとえ路上であっても、害虫は体をねじってぴくぴくしていた。体の隅々にまで、害虫は居座っていた。体のうえを害虫は転がり、明かりをつけた部屋にいても冒涜した。このオールド・ジェイゴウの、ありとあらゆる動く生き物の体の上につきまとい、昼も夜も、寝ているときも歩いているときもであった。そしてエジプトの第三伝染病をもたらし、しかもひっきりなしにであった。

Old Jago Street lay black and close under the quivering red sky; and slinking forms, as of great rats, followed one another quickly between the posts in the gut by the High Street, and scattered over the Jago. For the crowd about the fire was now small, the police was there in force, and every safe pocket had been tried. Soon the incursion ceased, and the sky, flickering and brightening no longer, settled to a sullen flush. On the pavement some writhed wearily, longing for sleep; others, despairing of it, sat and lolled, and a few talked. They were not there for lack of shelter, but because in this weather repose was less unlikely in the street than within doors: and the lodgings of the few who nevertheless abode at home were marked here and there by the lights visible from the windows. For in this place none ever slept without a light, because of three kinds of vermin that light in some sort keeps at bay: vermin which added to existence here a terror not to be guessed by the unafflicted: who object to being told of it. For on them that lay writhen and gasping on the pavement; on them that sat among them; on them that rolled and blasphemed in the lighted rooms; on every moving creature in this, the Old Jago, day and night, sleeping and walking, the third plague of Egypt, and more, lay unceasing.

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