アーサー・モリスン倫敦貧民窟物語「ジェイゴウの子ども」17章124回

やがて解体屋が悪臭ただよう、古い家を壊して、一世紀にわたって悪名をとどろかせてきた、秘密の歯牙を赤裸々にさらした。まずとりかかったのは、かつて織工たちがいた建物から、幅広の窓枠をおろすことだった。その窓枠にも、すばらしい面があるもので、見えない地下にまで、明かりと空気をとどけていた。その地下に、男も、女も群がって暮らし、子どもをもうけては死んでいく有様は、巣の中の狼のようだった。やがて息苦しい埃の雲から現れたのは、社会の害虫ともいうべき住民だった。だが、けっして洒落者ではない解体屋でも、なかに入ることを拒否する部屋がいくつかあった。そこで、なだめすかしてくれるものといえば、賃金を割り増しにするという約束をして、その仕事が終わればビールにありつけることをうけあうこと以外になかった。

 

And the wreckers tore down the foul old houses, laying bare the secret dens of a century of infamy; lifting out the wide sashes of the old ‘weavers’ windows’—the one good feature in the structures; letting light and air at last into the subterraneous basements where men and women had swarmed, and bred, and died, like wolves in their lairs; and emerging from clouds of choking dust, each man a colony of vermin. But there were rooms which the wreckers—no jack-a-dandies neither—flatly refused to enter; and nothing would make them but much coaxing, the promise of extra pay, and the certainty of much immediate beer.

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