チェスタトン「マンライヴ」一部二章第44回

「最後の審判のようだ」そう言うと彼は瓶を放り投げたが、どうやら瓶は床に着地して、右にゆれていた。「人々の話によれば、広大な宇宙とは…無限なものであり、天文学の領域である。たしかなことではないが。物事はあまりにも相互に近づきすぎていると思う…旅行のための荷造りをした…星はあまりにも近すぎる。ほんとうに…どういうわけだか、太陽は星だが、あまりに近づきすぎると、正しく見ることができない。地球も星だが、あまりにも近くにあるものだから、まったく見ることができない…浜辺にはたくさん小石がありすぎる。全部、輪にしてしまえばいいのに。観察するべき草の葉がありすぎる…鳥の羽冠は脳がよろめく。待っていてくれ。大きな鞄から荷物をだすから…そうしたら正しい場所に並べられるかもしれない」

 ここで彼は話をやめたが、それはまさしく息つぎのためで、それからシャツを一枚、部屋の反対の端に投げた。そのあとでインク瓶も投げたところ、シャツを跳び越え、むこうにきちんと落ちた。イングルウッドは周囲を見わたして、この奇妙な、なかば対称的にひろがる無秩序の中にいるうちに、疑念が高じてきた。

 

“Like the day of judgement,” he said, throwing a bottle so that it somehow settled, rocking on its right end. “People say vast universe… infinity and astronomy; not sure… I think things are too close together… packed up; for travelling… stars too close, really… why, the sun’s a star, too close to be seen properly; the earth’s a star, too close to be seen at all… too many pebbles on the beach; ought all to be put in rings; too many blades of grass to study… feathers on a bird make the brain reel; wait till the big bag is unpacked… may all be put in our right places then.”

Here he stopped, literally for breath—throwing a shirt to the other end of the room, and then a bottle of ink so that it fell quite neatly beyond it. Inglewood looked round on this strange, half-symmetrical disorder with an increasing doubt.

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