チェスタトン「マンアライヴ」一部二章第54回

すがすがしい大気が混ざりあっていき、庭園の土壌の香や秋薔薇の最後の花の香をかいだような思いに人々はかられた。突然、暗がりに沈んだ部屋から、はじけるような澄んだ音色がきこえてきたが、その音は、ロザムンド嬢が長い間忘れられていたマンドリンを取りだしたということを告げていた。最初、音程がいくつか聞こえ、遠方から響く鐘のような笑い声に近い音がした。

「イングルウッド」マイケル・ムーンが言った。「ぼくがならず者だという話を聞いたことがあるか?」

「そんな話は聞いたことがない。聞いても信じない」イングルウッドは、妙な間を置いてから答えた。「でも君が、いわゆる野育ちだと聞いたことがある」

 

There was still enough stir in the freshness of the atmosphere to make them almost fancy they could smell the garden soil and the last roses of autumn. Suddenly there came from the darkening room a silvery ping and pong which told them that Rosamund had brought out the long-neglected mandoline. After the first few notes there was more of the distant bell-like laughter.

“Inglewood,” said Michael Moon, “have you ever heard that I am a blackguard?”

“I haven’t heard it, and I don’t believe it,” answered Inglewood, after an odd pause. “But I have heard you were—what they call rather wild.”

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