チェスタトン「マンアライヴ」一部五章第122回

「ミス・ハント」ウォーナー医師は言った。「こちらはサイラス・ピムです」

紹介のあいだ、サイラス・ピム医師は目をつむり―その様子は子供の遊びで、正々堂々と戦っているかのようであったーすばやく小さなお辞儀をした。するとどうしたことだろう、ふと、この男がアメリカ合衆国の市民のように見えてくるのだった。

「サイラス・ピム先生は」ウォーナーは続けた。(ピム博士はふたたび目をとじた)「おそらくアメリカにおける犯罪学の最初の専門家です。私たちは幸運なことに、この尋常ではない事態について、彼に相談することができるのです」

「まったく理解できませんわ」ロザムンドは言った。「あなたの説明では、スミスさんはお気の毒にもひどい状態のようね」

「あるいは、あなたの電報では、と言った方がいいかもしれませんよ」ハーバート・ウォーナーは微笑みながら言った。

「なんですって。あなたは分かってないのね」娘は苛立って声をはりあげた。

「だって、彼のおかげで、私たちは教会に行くよりも素晴らしい経験ができたのよ」

 

“Miss Hunt,” said Dr. Warner, “this is Dr. Cyrus Pym.”

Dr. Cyrus Pym shut his eyes during the introduction, rather as if he were “playing fair” in some child’s game, and gave a prompt little bow, which somehow suddenly revealed him as a citizen of the United States.

“Dr. Cyrus Pym,” continued Warner (Dr. Pym shut his eyes again), “is perhaps the first criminological expert of America. We are very fortunate to be able to consult with him in this extraordinary case—”

“I can’t make head or tail of anything,” said Rosamund. “How can poor Mr. Smith be so dreadful as he is by your account?”

“Or by your telegram,” said Herbert Warner, smiling.

“Oh, you don’t understand,” cried the girl impatiently.
“Why, he’s done us all more good than going to church.”

 

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