チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第188回

「待ってくれ。ちょっと待ってくれ」モーゼスは叫びながら跳びあがると、興奮のあまり、さかんに身ぶりでしめした。「こちらの先生には言うことがある。こちらの先生が、その件について少し話したいそうだ」

 ピム博士は実際に立ちあがったが、その顔は青ざめ、やや残酷そうに見えた。「私が自らに厳しく課していることは」彼は鼻にかかった声で言った。「すぐに参照することが可能な本から説明するということです。ゾンネンシャインの「破壊的なタイプ」は、テーブルの上にありますから、もし弁護側が見たければ見ることもできます。でもムーンさんが話されている『破壊可能性』に関する素晴らしい論文とはどこにあるのですか? 存在するのですか? 彼はその論文を見せることができるのでしょうか」

「見せることはできる」アイルランド人は嘲りをこめて叫んだ。

「インク代と紙代を払ってくれたら、見せてやるとも」

 

“Hi, stop the ‘bus! stop the ‘bus!” cried Moses, jumping up and down and gesticulating in great excitement. “My principal’s got something to say! My principal wants to do a bit of talkin’.”

Dr. Pym was indeed on his feet, looking pallid and rather vicious. “I have strictly CON-fined myself,” he said nasally, “to books to which immediate reference can be made. I have Sonnenschein’s `Destructive Type’ here on the table, if the defence wish to see it. Where is this wonderful work on Destructability Mr. Moon is talking about? Does it exist? Can he produce it?”

“Produce it!” cried the Irishman with a rich scorn.
“I’ll produce it in a week if you’ll pay for the ink and paper.”

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