チェスタトン「マンアライヴ」二部二章第243回

「わかった、わかった」彼はいらいらして言った。「意見の相違があることは認めよう。昔の不人情な法典は泥棒を告発しては十年間刑務所にぶちこんだ。寛大で人間らしい覚書は泥棒をとがめないけれど、永遠に刑務所にいれてしまう。これで意見の相違はのりこえた」

これは優れたピムの特徴なのだが、入念に言葉をつかうことに酔いしれながら話を続け、敵が妨げていることにも無意識になるだけではなく、自分が言葉をとぎらせたことにも無意識になるのであった。

 

“Yes, yes,” he said impatiently, “we admit the chasm. The old cruel codes accuse a man of theft and send him to prison for ten years. The tolerant and humane ticket accuses him of nothing and sends him to prison for ever. We pass the chasm.”

It was characteristic of the eminent Pym, in one of his trances of verbal fastidiousness, that he went on, unconscious not only of his opponent’s interruption, but even of his own pause.

 

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