初出:1920年(大正9年)改造
読んでいるうちにクスリクスリと笑いたい衝動にかられる。でも谷崎潤一郎の作品で笑ってはいけない…と我慢して読みすすめる。でも笑いたい…笑いを我慢したまま不完全燃焼に終わったような作品。
湯河は会社からの帰り道、探偵につきまとわれる。探偵は湯河の身元調査を依頼されたと言う。そこで明らかになっていく湯河の過去。前妻を労わるように見せかけ、実は死ぬように仕向けては次々と失敗。そのどぎついまでの繰り返しに苦笑してしまいたくなる。
フォロワーさんから、「途上」は「プロバビリティの犯罪」と称するミステリの先駆的作品で、乱歩はこの作品に触発されて「赤い部屋」を書いたこと、冗談小説のつもりで谷崎も書いているだろうから笑ってもいいことを教えて頂き安心、今度は思いっきり笑って再読しよう。
2018年1月16日読了