近づいてくると、彼は無法者らしく見えましたが、それでもその表情はとても穏やかでした。
「寺をこわせ」でも彼は言いました。「そうすれば君の神々も自由の身となるだろう」
そこで彼の単純さに微笑みながら、私は答えました。「けれど、もし神々はいないというならば、私に残されるのは壊された寺だけではありませんか。」
この言葉を聞いた大男は、理性の光があまり射し込んでいない者のようではありましたが、骨太の両手をさしだして、自分を許すようにと請うてきました。そして何を許されたいのかと訊きましたら、彼はこう答えました。
「正しいということを」
「君たちの偶像も、皇帝もとても古くからあるもので、賢いし、満足のいくものだからなんだよ」彼はわめきました。「だから、そうしたものが間違っていたりしたら、恥ずかしくなるんだ。ぼくたちは不作法なところもあるし、暴力的なところもあるから、君の国のひとにしょっちゅう酷いことをしてきた。ぼくたちが正しかったりすれば、それは恥ずかしいことなんだ」
“He came yet closer to me, so that he seemed enormous; yet his look was very gentle.
“`Break your temple,’ he said, `and your gods will be freed.’
“And I, smiling at his simplicity, answered: `And so, if there be no gods,
I shall have nothing but a broken temple.’
“And at this, that giant from whom the light of reason was
withheld threw out his mighty arms and asked me to forgive him.
And when I asked him for what he should be forgiven he answered:
`For being right.’
“`Your idols and emperors are so old and wise and satisfying,’ he cried, `it is a shame that they should be wrong. We are so vulgar and violent, we have done you so many iniquities— it is a shame we should be right after all.’