チェスタトン「マンアライヴ」二部四章第422回

レディ・ベリントンは、小塔から見おろしているのです。その塔は、昔ながらの石鹸製造の金をつかってホートンから購入したものです。ウルスターの成功していない男との結婚に飛びついたときのことですよ。レディ・ベリントンは、この小塔から外を眺めているのです。でも、ほんとうに見つめているものは、グリーンと描写できるものだけでした。ハンベリー・エンド・ブートルのトリップ氏のところにいたのは、スミスと結婚したタイピストでした。ミス・グリッドレーは理想主義者でもあり、根っからの正直者でもあるのです。彼女が住まいを提供し、食べ物をあたえ、教えた若い女性こそが、スミスにおびきだされた女性なのです。こうした女性たちがほんとうに生きていたことは認めます。それでもまだ疑問に思ってしまうのですが、彼女たちはこの世にほんとうに生まれていたのだろうかと。

「これはなんと!」モーゼス・グールドは言うと、面白さをこらえました。

Lady Bullingdon, looking from her turrets, which she bought from the Whartons with the old soap-boiler’s money when she jumped at marrying an unsuccessful gentleman from Ulster—Lady Bullingdon, looking out from those turrets, did really see an object which she describes as Green. Mr. Trip, of Hanbury and Bootle, really did have a typewriter betrothed to Smith. Miss Gridley, though idealistic, is absolutely honest. She did house, feed, and teach a young woman whom Smith succeeded in decoying away. We admit that all these women really lived. But we still ask whether they were ever born?”

“Oh, crikey!” said Moses Gould, stifled with amusement.

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