再訳 サキ「耐えがたきバシントン」№17

「束の間の安らぎというわけか」ヘンリーは言った。「一、二年もすれば学校を卒業するが、そのあとはどうする?」

 フランチェスカは目を閉じ、悩ましい見通しから目をそむけようとする雰囲気をただよわせた。他人がいるところで、将来について子細に検討することは彼女の好むところではなく、とりわけ将来の幸運が疑わしい影につつまれている時はなおさらであった。

 「さて、そのあとは?」ヘンリーはしつこかった。

 「そのときは、わたしの手には負えなくなっているでしょうよ」

 「いかにも」

 「そこに座って批判がましい顔をするのはやめて。もし忠告をしていただけるなら、どんな忠告でも耳を傾けるつもりはあるから」

 「まっとうな若者なら」ヘンリーは言った。「わたしもたくさん助言をして、ふさわしい職業につけるように手助けもするだろう。だがコーマスについては知ってのとおり、我々が仕事をみつけたところで見向きもしないから、時間の無駄というものだろう。」

“It is only a temporary respite,” said Henry; “in a year or two he will be leaving school, and then what?”

Francesca closed her eyes with the air of one who seeks to shut out a distressing vision.  She was not fond of looking intimately at the future in the presence of another person, especially when the future was draped in doubtfully auspicious colours.

“And then what?” persisted Henry.

“Then I suppose he will be upon my hands.”

“Exactly.”

“Don’t sit there looking judicial.  I’m quite ready to listen to suggestions if you’ve any to make.”

“In the case of any ordinary boy,” said Henry, “I might make lots of suggestions as to the finding of suitable employment.  From what we know of Comus it would be rather a waste of time for either of us to look for jobs which he wouldn’t look at when we’d got them for him.”

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