さりはま書房徒然日誌2023年12月16日(土)

神奈川県立図書館ボランティア朗読会「日々のこと」へ

ー朗読を聴く幸せを満喫!本を選び、練習して……という長い時の積み重ねを感じた!ー

神奈川県立図書館4階学び交流エリアにて開催された、図書館ボランティアスタッフによる朗読会に行ってきた。

神奈川県立図書館は昨年秋に新しい建物に生まれ変わったばかりの、歴史はあるけれど、施設は新しく快適な図書館である。

今日朗読されたりお手伝いされたりしていたボランティアの方々は、図書館で開催された令和四年度Lib活「本を選び、本を読み、本を朗読する講座」で学ばれたそうで、令和五年から県立図書館ボランティアとして定期的にテーマを決めた朗読会で活動されているとのこと。

ボランティアスタッフの年齢の幅広さが意外であった。
年齢を積まれた方々は予想できたが、働き盛りのお若い方々がお忙しいだろうに生き生きと参加されているのには驚いた。
かつては朗読といえば演劇から入ってくる方々が多く、中々足を踏み込みがたい雰囲気があったように思うが……。最近では文アル、文ストブームに加え、声優の方々の活躍が朗読の層を広げたのだろうか……。
私が学校に勤務していた頃、声優に憧れて毎日割り箸を口にくわえてボイストレーニングに励んでいた女子生徒がいたっけ……と思い出す。朗読を真摯に楽しむ……という文化が、私より若い方々には広がっているのを感じる。
何はともあれ、多くの方々が本を朗読してくださるのは嬉しいし、そういう志のある方々に学びや実践の場を提供してくださる神奈川県立図書館の司書の方々にも感謝したい。

ボランティアスタッフと図書館司書の方々が、とても意気のあった感じで活動されているように思えた。今回の朗読会のテーマ「日々のこと」は、図書館司書の方が3階企画棚シコウの窓に「日記」と関連した展示をされていることから決められたそうである。

今回の朗読本は、「方丈記」(鴨長明 高橋源一郎訳)、「病牀六尺」(正岡子規)、「ぶぅぶぅママ」(小路智子)、「無人島の二人~120日以上生きなくちゃ日記~」の四冊である。
古典から絵本、現代作家までバラエティ豊かである。

そのうちの二冊が、病の床で書かれた日記である。病の床にあるとき、日記を記したくなる人の心というものを思う。

「方丈記」も、「病牀六尺」も穏やかな女性の声で朗読してもらうと、まるで音楽のように言葉の音韻が浸透してきて大変心地よい。

「ぶぅぶぅママ」は第34回日産童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞作だそうで、どうやらこの一作だけの作者のようである。
どこかほのぼの、でもブラックユーモアも効いている……という作品に、この朗読会に来なければ出会えなかっただろう。
知らない作品に出会える……というのも、この朗読会の面白さである。

作者・山本文緒さんが癌で亡くなるまで書かれていた日記「無人島の二人~120日以上生きなくちゃ日記~」を聴いていると、山本さんやご主人の姿がありありと浮かんできた。
私の短歌の師・福島泰樹先生が短歌絶叫コンサートで「死者は死んではいない。死者は言葉の中に生きている。その言葉を朗読することで死者は蘇るんだ」と言いながら、朗読されている姿と重なる。
どの朗読者もだが、山本文緒さんの作品を朗読された方も、時間をかけ迷いながら作品を選び、おそらく13分くらいの持ち時間のために果てしなく朗読の練習をされたのだろう。
そのおかげで私は山本さんの最期の日々をしっかりと追いかけることができた……と思い、朗読の、言葉の力を感じた。

最後、この朗読会のことを教えてくれた年下のフォロワーさんがエレベーターまでお見送りしてくださりながら、短い時間で色々とー丸山健二「真文学の夜明け」を一生懸命に読んでくださっていることやら「真文学の夜明け」のレイアウトが読みやすいことやらーお話しして下さってとても嬉しかった。
朗読会であるだけでなく、さりげなく本の話もできるリアルな場である……という機会を提供してくださる神奈川県立図書館とボランティアの方々に心から感謝したい。

次回は3月9日(土)14時半から、テーマは「ともに……」だそうである。

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