さりはま書房徒然日誌2023年12月18日(月)

丸山健二「風死す」1巻を少し再読する

ースペースには大切な意味があるのかも!ー
ーイメージが繋がるように言葉を散りばめてくれている!ー

以下引用は、「咎を小脇に抱えての流浪」(「風死す」1巻150頁)をしている主人公の心中を描写している箇所。
「咎を小脇に抱えての流浪」という言葉だけで、主人公の胸中が迫ってくる表現だと惹きつけられる。


引用箇所はとても心に残るものがあって、なぜだろうと入力した後もじっと眺めてリフレインしてしまう。


スペースにも大事な意味があるのかもしれない……という気がしてきた。

「究極の安らいの深層部に到達すべき」は、切言が響かなくなっているのに諦めずに語りかけてくる〈絶望の覇者〉の声のようでもあり、流浪を続ける主人公の声のようでもあり……。

「孤独な寂滅」が行の最後にくることで、次の「水面下に没して」というイメージが言葉より先に形成されている。

スペースがあることで「命の輪郭線が滲み」という深い言葉が、鮮烈に心に残る。

前の段落の「寂滅」という言葉に脳が刺激されて、次の段落の「地獄への道連れ」も、「かけそき楽の音」も、「穢土」も、どこか「寂滅」繋がりで結びついてゆく気がする。

前の段落の「海原」も、次の段落の「ゆるゆると」や「呑みこまれ」に言葉のイメージが結びつく。

だから少し難しいように思える文だけれど、丸山先生がイメージをさりげなく繋がるように言葉をばら撒いてくれているから、難破することなく文をたどっていける気がする。

〈絶望の覇者〉なればこその切言が胸に響かなくなって
  究極の休らいの深層部に到達すべき 孤独な寂滅が
    生の海原の水面下に没して 命の輪郭線が滲み

    地獄への道連れにしてはあまりにも芳しくない
      かけそき楽の音が空をゆるゆるとよぎって
        何が成し遂げられるわけでもないまま
          束の間の穢土の八方に呑みこまれ


(丸山健二「風死す」1巻151頁)

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