さりはま書房徒然日誌2024年2月1日(木)

丸山健二「千日の瑠璃 終結1」を少し読む

ー腐った牛乳の怒り、哀しみを吹き飛ばす世一のピュアな心ー

十月二十六日「私は牛乳だ」で始まる。
語り手は停電のせいで腐敗してしまった牛乳。そんな己を飲んだ世一を眺めながら、牛乳はユーモラスに怒り、やがて自分と世一のことを哀れにも思う。
だが、そんな腐った牛乳の思いを吹き飛ばす世一の行為が……。
あらためて不自由な少年・世一に寄せる作者の想いの強さを感じる展開だった。
以下引用文。腐った牛乳がユーモラスに怒りを語る。

なんだか酷く汚らしい胃袋に流しこまれた私は
   その腹いせに
      ここ一両日中に爆発的に数を増やした
         命取りにもなりかねぬ
            幾種類もの菌をぶちまけてやり、


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」103頁

以下引用文。腐った牛乳は自分と世一のことを悲観的に捉えるが……この後の世一のある行為が、腐った牛乳から毒を消し去る。

無価値な者と無価値な物というマイナス同士が結びつくことで
   共に仲良く消え失せる
      これこそが理に適った淘汰ではないかと


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」104頁

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