さりはま書房徒然日誌2024年2月15日(木)

丸山健二「千日の瑠璃 終結 1」を少し読む

ー漢字一字でイメージがガラリと変わる!ー

十一月三日は「私は頽廃だ」で始まる。

「頽廃」も「退廃」も意味、読みは同じだと思うが、辞書で調べてみれば「頽」には「崩れる」という意味があり、「退」には「しりぞく」という意味があるのだろうか。
だから「頽廃」の方がより荒んだイメージが出るように思う。

世一が住む「まほろ町」を覆う「頽廃」が語る町の様子も、人々の様子も、「まほろ町」というよりも、日本全体を表しているような気がしてならない。

以下引用文。
「停滞の底に横座りになる」「気休めの言葉の上に 長々と寝そべる」という言葉が、「まほろ町」の住民の雰囲気をよく表しているし、ここまで飛躍して表現できるのかと参考になった。

住民の精神はとことん朽ち果てて
   もはや先行きの心配すらしなくなり
      深刻な難局に当面しているという自覚も持ち合わせておらず、

      絵に描いたような僥倖を待ちくたびれたかれらは
         痺れをきらして安寧もどきの停滞の底に横座りになるか
            さもなくば

               一時不安を解消する気休めの言葉の上に
                  長々と寝そべるばかりだ。


(丸山健二「風死す 終結 1」135頁 


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