丸山健二「千日の瑠璃 終結2」一月二十二日を読む
ー偏見は生まれたときからなのかー
一月二十二日は「私は手だ」と「乳児の 魂そのものよりも柔らかい手」が語る。
乳児の手を語る文にその形や動きを思い浮かべ、納得しつつ途中まで読む。
以下、「 」内はすべて丸山健二「千日の瑠璃2」より。
「たとえ天変地異に見舞われたとしても親を放すまいとする
凄い圧力を秘めた私」
「私自身の接し方は
猫にも人間にも分け隔てがなく」
以下引用文。そんな乳児の手も、世一のことは忌み嫌う……と書かれたのは、なぜだろうか。
人間の心には、理不尽な偏見が生まれついたときから根付いている……そんな思いもあって、こうした文を入れたのだろうか?
そうだとしたら人間の心に生まれついた時から巣食う偏見に、世一は
どう向かい合っていくのだろうか?
今後の展開が楽しみになってくる。
しかし
何事にも例外があり、
勝手に頭がぐらぐら動いてしまうせいで脇見が普通になっている
あの少年がそれで
私が忌み嫌うそいつが
今また無断で敷地内に入りこみ
庭を横切って迫ってくる。
(丸山健二「千日の瑠璃 終結2」56ページ)