丸山健二「千日の瑠璃 終結2」二月十五日を読む
ー自然に人間の世界を重ねるー
二月十五日は「私はカモメだ」と猛吹雪で海岸線を見失い、山の中まで迷ってしまったカモメが語る。
以下引用文。迷い鳥のカモメがまるでさすらいの旅人のようにも、カラスが俗物根性丸だしの人間たちのようにも思えてくる描写である。
丸山先生の目は、自然界の在り方にも人間の世界を重ねて見ているのだろうか?
いよいよ天運尽きた私は覚悟を固めたことで
さばさばした気分になり、
雪の重みで押し潰されそうになった長い桟橋の突端で翼を休め
眼前に広がる見慣れぬ光景を夢心地で眺めた。
すると
閉鎖的で排他的な田舎者根性まる出しのカラスどもが
迷い鳥の私をいびり殺そうと集まり、
(丸山健二「千日の瑠璃 終結2」152頁)