丸山健二「千日の瑠璃 終結2」二月十八日を読む
ー意外な本への思いー
二月十八日は「私は頭痛だ」で始まる。都会を離れ、山暮らしを始めた元大学教授がまほろ町の図書館を訪れ、久しぶりにたくさんの本を目にしたときに襲ってきた「頭痛」が語る。
以下引用文。大学教授という本を通して物事を見てきた筈の人が、こんな思いを本に抱くとは……一瞬、意外に思う。
でも丸山先生自身、いつかオンラインサロンで好きな書店は?と訊かれて、「リアルの書店に行くのは好きでない。本に囲まれると圧迫感を感じる」というような意外な答えをしていたのを思い出した。そんな丸山先生だから、こんな言葉が出てくるのではないだろうか?
確か彼は
本には二度と手を出すまい
これからは他人の言葉を通さずに現実を直視しよう
おのれの目で見ておのれの頭で判断しようと
そう自身に誓ったはずで、
(丸山健二「千日の瑠璃 終結2」163頁)