さりはま書房徒然日誌2024年6月10日(月)

丸山健二「千日の瑠璃 終結2」を読む

ー「髪」が語ればー

三月四日は「私は髪だ」で始まる。
以下引用文。「四十三年間生きてきた」女の髪が語る。まるで竹下夢二が描く女を思わせる描写でありながら、作者が「女」のことを語るのでなく、「女の髪」が「女」を語ることで変な生々しさは消え、女の生命力が歌うように書かれているような気がした。

それでも私は
   山間を流れる小川のように
      どこまでもしなやかで、

      彼女のすっと気持ちよく伸びた華奢な首にも
         逃げ水のごとく儚い感じのうなじにも
            よく似合っており、


(丸山健二「千日の瑠璃 終結2」218頁)

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