丸山健二『千日の瑠璃 終結3』六月三日を読む
ー野のオオルリ対籠のオオルリー
六月三日は「私はオオルリだ」で始まる。「野に生きるオオルリ」が世一に飼われる「籠のなかのオオルリ」に攻撃を仕掛ける。
以下引用文。世一の住む丘が気に入った野のオオルリは、丘を明け渡すように世一のオオルリに迫って囀る。
結局、野のオオルリはこんな捨て台詞を吐きながら退いてゆく。
野のオオルリの言葉ももっともだ。
言い返す世一のオオルリの強さは生意気だけど、確かに「鳥を超越した存在」に思えてくる。
人間の庇護の元に育ち
牝と番うことも子孫を残すこともなく
ただ生きて死んでゆくだけのそいつは
自分は鳥を超越した存在なのだから
同類扱いは迷惑千万だと言い放ち、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』185頁)