さりはま書房徒然日誌2024年7月30日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結3』六月四日を読む
ー童話的な世界ー

六月四日は「私は春月だ」で始まる。「春月」だけが知る「まほろ町に厭な出来事がひとつもなく」という珍しい日。
以下引用文。そんな稀なる日を語る「春月」の口調には、どこか童話めいたものがある。『千日の瑠璃』は大人のための童話なのかもしれない、と読んでいて思うときがよくある。なかなかこんな風に過ごし難いのが人間なのかもしれないが、心に刻んでおきたい言葉である。

まほろ町に住する人々は皆
   休日のきょう一日
      それぞれ分に応じた暮らしを送り、

      身知らずな考えを持たず
         無計画な行動に走らず
            この世に存することの意義を裏切らず、

            そしてそのことをよしとして
               いつもより多く笑った。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』189頁)

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.