さりはま書房徒然日誌2024年8月4日(日)

丸山健二『千日の瑠璃 終結3』六月六日を読む

ーコーラに象徴されるものー

六月六日は「私は空き缶だ」で始まる。

以下引用文。「下請けのまた下請けの町工場へ働きに出かけた青年」のやるせなさ、夏の無情が一気に伝わってくる文である。

私は空き缶だ、

   飲み干されると同時に
      ひたすら夏へ向かって突き進む太陽めがけて
         思いきり投げつけられた
            コーラの空き缶だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』194頁)

以下引用文。コーラは資本の象徴なのだろうか。そう思うと、コーラを放ったときの下請けで働く青年の憎悪、コーラが青年の胃袋で揺れている様子、そしてアスファルトを転がっていく様子が切ない。

されど
   資本の力と同様
      この世を支配する重力には到底逆らえず、

      早くも溶けかかっているアスファルトの路面に落下して
         からからと転がり、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』196頁)

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