さりはま書房徒然日誌2024年8月17日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結3』六月二十六日を読む

ーくつろぎにあふれているのは?ー


六月二十六日は「私はくつろぎだ」で始まる。旅館で養生中の骨折した娼婦の感じる「くつろぎ」が語る。

以下引用文。本当に「くつろぎ」が感じられる文なのはなぜ?と考えてしまう。
「きのう」や「あした」という時間を表す言葉が平仮名なのは、丸山作品によく見られる特徴だ。
丸山先生の好みなのかもしれないが、この場合、「きのう」「あした」と平仮名にすることで時間の観念が消えて、のんびりした感じになってくる。

私も「きのう」「あした」と平仮名感覚で、更にのんびりモードで生きていきたい。

生来の楽天家である彼女は
   きのうまでのあれこれを
      どうでもいい夢のようにして忘れ去り、

      あしたを気に病むこともなく
         よく冷えたビールのなかへ
            いささかくたびれた自意識を大胆に解き放つ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』275頁)

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