丸山健二『千日の瑠璃 終結3』六月二十六日を読む
ーくつろぎにあふれているのは?ー
六月二十六日は「私はくつろぎだ」で始まる。旅館で養生中の骨折した娼婦の感じる「くつろぎ」が語る。
以下引用文。本当に「くつろぎ」が感じられる文なのはなぜ?と考えてしまう。
「きのう」や「あした」という時間を表す言葉が平仮名なのは、丸山作品によく見られる特徴だ。
丸山先生の好みなのかもしれないが、この場合、「きのう」「あした」と平仮名にすることで時間の観念が消えて、のんびりした感じになってくる。
私も「きのう」「あした」と平仮名感覚で、更にのんびりモードで生きていきたい。
生来の楽天家である彼女は
きのうまでのあれこれを
どうでもいい夢のようにして忘れ去り、
あしたを気に病むこともなく
よく冷えたビールのなかへ
いささかくたびれた自意識を大胆に解き放つ。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結3』275頁)