さりはま書房徒然日誌2024年9月6日(金)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月一日を読む

ー意外なイメージ同士がピッタリー

八月一日は「私は静寂だ」で始まる。暴力団らしきメンバーの葬式が行われたまほろ町。警官や人々の緊張もほぐれつつある様子を、町に戻りつつある「静寂」が物語る。

以下引用文。元に戻りつつある町に意外にも不満そうにしている人々。ふらら歩きながら、その聲を耳にして真似する世一。「不満の言葉や不毛の言葉」のイメージと「散歩中のハリネズミよろしくぶつぶつ呟き」というイメージが、かけ離れたものなのにピッタリする表現の不思議さを感じた。

そんな病児は
   町のあちこちで耳にした
      不満の言葉や不毛の言葉を
         散歩中のハリネズミよろしくぶつぶつ呟きながら、

(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』21頁)

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