丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月一日を読む
ー意外なイメージ同士がピッタリー
八月一日は「私は静寂だ」で始まる。暴力団らしきメンバーの葬式が行われたまほろ町。警官や人々の緊張もほぐれつつある様子を、町に戻りつつある「静寂」が物語る。
以下引用文。元に戻りつつある町に意外にも不満そうにしている人々。ふらら歩きながら、その聲を耳にして真似する世一。「不満の言葉や不毛の言葉」のイメージと「散歩中のハリネズミよろしくぶつぶつ呟き」というイメージが、かけ離れたものなのにピッタリする表現の不思議さを感じた。
そんな病児は
町のあちこちで耳にした
不満の言葉や不毛の言葉を
散歩中のハリネズミよろしくぶつぶつ呟きながら、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』21頁)