さりはま書房徒然日誌2024年9月10日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月五日を読む

ー体験が滲む文ー

八月五日は「私は大鎌だ」で始まる。「食べて眠るだけの生活」にも、「そのときの気分で踊るアドリブのダンス」にも飽きた青年が、新しい職を求めていくなかで出会った下草刈り用の大鎌が語る。
丸山先生の田舎暮らしと作庭の体験から出てくる言葉が、意識してなのか無意識になのか定かではないが、渦巻いているような文だと思った。

たちまちにしてコツを呑みこむと
   同僚の誰にも負けぬ勢いで
      私をブンブン振り回し、

クマザサを薙ぎ払い
   派手な色合いの蛇の頭をすっぱりと刎ね
      小石にぶつかるたびに火花を飛ばし、

そのついでと言ってはなんだが
   思い出したくもない過去と
      汗といっしょに断ち切った。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』35頁)

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