丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月十一日を読む
ー竜を威嚇する強さー
八月十一日は「私は竜だ」で始まる。「山車の 四本の豪華な柱をぎゅっと締めあげ」る竜が語る。
以下引用文。竜が「傲岸」とまで語る少年世一。世一の天真爛漫さ、他人のとらえる自分の弱さをきっぱり拒絶する強さが心に残る。
近頃では
「ハッタリはよせ!」などと言って私を威嚇する
およそ恐れというものを知らぬ子どもさえ現れる始末で、
傲岸にもその少年は
私のみならず自身の病すら認めようとしないばかりか
不自由な肉体に付き纏って離れぬ
深い孤独や疎外感さえも認めていないのだ。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』61頁)