さりはま書房徒然日誌2024年9月16日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月十一日を読む

ー竜を威嚇する強さー

八月十一日は「私は竜だ」で始まる。「山車の 四本の豪華な柱をぎゅっと締めあげ」る竜が語る。

以下引用文。竜が「傲岸」とまで語る少年世一。世一の天真爛漫さ、他人のとらえる自分の弱さをきっぱり拒絶する強さが心に残る。

近頃では
   「ハッタリはよせ!」などと言って私を威嚇する
       およそ恐れというものを知らぬ子どもさえ現れる始末で、

傲岸にもその少年は
   私のみならず自身の病すら認めようとしないばかりか
      不自由な肉体に付き纏って離れぬ
         深い孤独や疎外感さえも認めていないのだ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』61頁)

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