さりはま書房徒然日誌2024年9月26日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月二十五日を読む
ー平易だけど心に残る表現ー

八月二十五日は「私は異変だ」とまほろ町に次々と起きる異変が語る。
以下引用文。「夏と交わりたがる大勢の人間」とか「ぐうの音も出ないほど貧しさにやりこめられた」とか、平易なんだけれど思いつかない面白い表現だなと思う。

されど
   湖岸にも湖上にも
      夏と交わりたがる大勢の人間がいたにもかかわらず
         誰ひとりそれを目撃しなかった。

ついで私は
   ぐうの音も出ないほど貧しさにやりこめられた路地裏へと移り、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』116頁)

以下引用文。最後の四行からオオルリが激しくさえずる姿が浮かんでくるのはなぜだろうと思った。もしかしたら「オオルリ」のところまでは、わりと開けた感じの文字を使い、「オオルリ」以降は画数の多い漢字がきているせいもあるのだろうか?

少年世一の広大な人生を祝してさえずる
   籠の鳥であっても究極の自由を味わいつづける
      オオルリが
         小さな脳髄に宿る大きな魂を
            激しく震わせながら
               人間に限りなく近い
                  絶叫を発した。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』117頁)

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.